記者が求めるテレビインタビューのコメント【MATSU氏@中国・台湾】

北京で三立テレビの取材

北京で、マスコミや飲食業関係者が集う会議に出席した際、取材に来ていた台湾・三立テレビから取材を受けた。
質問項目は次のようなものだった。
◎中国と台湾のテレビ局(番組)、どう違うか。
◎中国と台湾、グルメはどのように違うか。
◎台湾グルメで一番、気に入ったもの。
◎中国での今後の展開

局のスタンスを見極める必要性

取材

記者の立場から考えると、『質問の流れをどう作るか』というのが一番のポイントである。今回の取材は『アラを探す』という類ではなく、友好的なものだったので、こちらも答えが出しやすかった。しかし、局によっては(或は記者の性格によっては)、質問の流れが「刺激的なことを言わせる」風に向くことがあるので、要注意な場合もある。
今回は、『中国・北京で日本人が台湾テレビ局に取材を受ける』という少し特殊なパターン。『反大陸』『大陸寄り』『ニュートラル』なのか、局のスタンスを見極める必要がある。反大陸な局であれば、記者が求める質問は『大陸の悪口』的な方向に誘導されるだろう。大陸寄りであれば、『大陸の発展』のような部分からのアプローチになるだろう。『ニュートラル』と言っても、何をもってニュートラルとするか・・・まあ大抵の報道機関が「自分たちがニュートラル」だと思っているだろうから。

両面

とはいえ一介の外国人が報道機関の思想傾向を見抜くのは困難である。良い経験、苦い経験、両面を出しつつ、「都合の悪いところは編集で落として、好きなところを使ってください」という玉虫色的なスタンスだろうか。

番組のトーンは制作者の味付け次第

スクープ

結局、番組がどういうトーンに仕上がるかは、記者やディレクター、編集長の「味付け」次第だ。以前、台湾のニュースで「ある歩道、青信号の時間が短い」という事柄を『スクープ』として取り上げていた。信号が青になっている時間を、記者がストップウォッチで計る映像、「不便だ」という街頭市民の声が使われていた。番組はそれなりの仕上がりをしていたが、おそらく、ほとんどの市民が「無関心」「どうでもよい」と思っているのではないか。
しかし、局としてはスクープ扱い。24時間放送のニュースチャンネルにあっては、ネタが不足しがち。(休日は政治が動かないのでさらにネタ不足傾向)「市民はどうでも良いと思っているようです」などとキャスターに読ませるわけにはいかない。

誘導尋問を浴びせて言葉を取る

誘導質問

記者は市民にインタビューを試みる。考えられる誘導質問は次のようなものだ。
記者:「あの信号、青の時間がすごく短いですよね。どう思われますか?」
記者:「こういう信号機を作るのは行政が市民のことを考えていないからではないか?」
記者:「この信号のせいで歩行者の危険はすごく高まっているように思えるが、どうでしょうか?」
このような感じの質問を浴びせて、「不便だ」「おかしい」「困っている」というフレーズを引き出し、3人くらい声が取れればOK。(これらの質問でもダメなら、この市民は今回の話題にはふさわしくないということでリリースされる)

映像をはめこんでいくだけ

はめこみ

番組や特集、記事の内容などは、記者や編集者の手の内であらかじめ形作られている。実際の撮影では、プロットに映像を「はめこんでいく」だけで、あらたに「追加」される分は少ない。自由度の高い番組は、現場で起きたことに「流れて」いくこともあるが、報道等では、現場取材中のエピソードで「サプライズ」が起きようと、映像が無ければ意味を成さないことも多い。
グルメ番組の撮影中に、レストラン店長が気を利かして、或は、取り上げてもらおうと、アレもコレもと料理を持ってくることがある。しかし、品数などが多すぎても番組からは溢れてしまうため、持てなしが意味を成さないことも多い。

特殊な固有名詞が多発しないように

固有名詞

インタビューをすることの方が多いが、時折、取材を受けることがある。取材を受ける際は、記者が編集しやすいように心がけている。「一つの文章が長くならないように」「話の中に特殊な(注釈が必要な)固有名詞が多発しないように」「複雑な話の展開にしないように」等である。記者もディレクターもインタビューの中に「新発見」「奥深さ」をあまり求めてはいない。シンプルな文章で、彼らの「シナリオ」に合うコメントを求めているのだ。どこの国でもある程度は同じだろう。

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