イキイキしている中国テレビ局の司会者【MATSU氏@中国・台湾】

堅苦しいものだと思っていたが・・・

それまで、中国の番組について「堅苦しくてつまらない」ものだとばかり思っていた。しかし、撮影に加わったり、内容を見ることで、イメージは変わった。「結構、見応えのある番組が多いじゃないか・・・」と。言論の規制はある。「共産党」「天安門」「チベット問題」「台湾問題」など、触れてはいけないタブーが存在する。しかし、規制ははっきりと線引きされており、その分、規制以外のエリアでは、司会者もゲストも自由に遊ぶ感じすらあるのだ。

規制のラインがはっきりしない日本

日本ではどうだろうか。規制はあるが、はっきりとそびえ立っているものではない。だから「日本の表現は自由だ」という考え方にも繋がるのだが、果たして本当にそうなのだろうか。司会者やキャスターは、事の核心を避けながらも、それっぽい

規制

顔をして「意見風」のようなことを強めのトーンで言うのが限界線。「規制風」「倫理的に」など、現場では気づかずに、のちのち視聴者や関係者が「さっきの表現はおかしいんじゃないか?」と圧力をかける場合がある。はっきりとした規制が見えないために、なんとなくおどおどしている。

中国は「家族」層をターゲットに

ターゲット

中国の番組のトーンは「民放」と「教育テレビ」の中間くらいだろうか。これはあくまで「トーン」。中国の番組は、日本のお笑い番組が時折入れてくる「家族が見てて気まずくなる表現」がほとんどない。家族でも安心して見られる。日本では視聴者層のターゲットを絞り込んでいく。テレビを見ている視聴者は「個人」が多いという前提。しかし、中国は「家族」層に向けたもの。幅広い層が見て違和感を感じさせないトーンの作りになっている。

中国の「伝媒大学」

伝媒大学

司会者のイメージ・・・。全体的に言えるのは、中国も台湾もイキイキしているということ。大学から伝媒(メディア)大学や演劇学院で学んでいる司会者が多いので、基礎も、司会者的教養の入れ方もしっかりしている。日本では、大学の「サークル」や大学とは別に通う「アナウンス学院」はあるものの、「マスコミ専門大学」のような位置づけで確固たる地位の大学はない。高校時代に「マスコミ」を進路として希望した場合、中国では「伝媒大学」を選択するが、日本の場合、はっきりとした選択肢が用意されていない。伝媒大学を卒業すれば、中国テレビ局の採用は近づくが、日本の場合、「どの大学を出ればマスコミ就職が近づくのかよく分からない」状態にあり、学生はアナウンスや知識の蓄え方について、学生時代から準備できない現状にある。日本の局は「誰をとってよいかよく分からない」ので、放送界には不適当な(と言える)人材がトリッキーに入社してきたりする。
入り口


単位を取りながら放送技術を習得

単位

伝媒大学は、アナウンサー科、撮影科、制作科などに分かれていて、例えばアナウンサー科の授業には、発声練習、発音練習、表現の仕方、インタビューの仕方などが入っており、単位を取りながら、技術を習得できる。「伝媒大学」卒業という学歴があれば、イコール、「放送業の即戦力クラス」、という能力の証明となる。そのためか、20代中盤〜30代前半でも局の看板番組でエース級の活躍をする司会者も少なくない。日本で、「大学卒業=ある程度の技能保証」という図式は、教育大学、美術大学、体育大学に当てはまる。

日本ではアナウンス専門学校か放送系サークルで

日本では

日本では、サークルに入るか、別に授業料を払ってアナウンススクールに行く。戸外でやらねばならないというのは、色々な意味でしんどい。それを中国では、大学の授業で学べる。「単位」を取れる、「卒業」に結びつく・・・。これらはモチベーションにも繋がる。伝媒大学の講師に、中国中央電視台の現役アナウンサーやプロデューサーが入ることも多い。国営のテレビ局に、国立の大学という組み合わせで、国家管理のもと、そのシステムも成り立つ。日本で現役アナウンサーが学生に教えるのは、局が設立したアナウンススクールでのことだが、客寄せの色が強い。

総合的な能力の高さを感じる中国人司会者

司会者

司会者全体の能力は中国の方が高いように思える。番組の司会進行しながらも、時に歌を歌ったり、物まねをしたり、ふざけたりする。アドリブも効き、暗記の能力も優れている。海外の文化、ニュースについてもよく知っている。セリフの暗記などは、若い時から「文章を覚える」という習慣をつけておかなければならない。伝媒大学でその習慣を叩き込まれているので、やはり強い。
日本ではそういう習慣を大学で叩き込む場所がない。日本の司会者(特に最近)は、自分を押し出さず、なんとなくの雰囲気で場を作っていこうとする。その連続が司会者の吸引力を奪って行き、看板番組の司会を、タレントに持って行かれたりするのだ。特にお笑い芸人のツッコミ役の方は、多様なボケに対し「的確に突っ込む」という習慣、経験を持っている。制作者は、その経験を買うのである。

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