北京・胡同で撮影する米テレビ局〜英語と中国語が飛び交う【MATSU氏@中国・台湾】

制作の自由を求めてインターネットへ

網路頻道

中国は通常のテレビ局だけでなく、インターネットを使った方式のチャンネル「網路頻道」も発達している。「網路頻道」は中国の監視機関である広電総局の影響を受けにくいため、自由を求め、制作者も視聴者も、インターネットの方に流れつつある。(かといって、「網路頻道」も完全フリーというわけではないが)

アメリカのロケ番組が北京・胡同で撮影

restaurant

『BON(BlueOceanNetwork)/藍海電視』。アメリカに拠点を置く放送局で、中国国内の事象を取り上げる。中国国内では放送されていない(インターネット経由で見る中国人視聴者は少なくない)。BONの紀行番組「Wok-N-Roll」のロケ現場。この日の舞台は、北京・胡同(フートン/北京の歴史ある住宅街)内、シェフの董さんが経営するカフェ「CafedeSofa」。董シェフは約5年前、台湾から北京に拠点を移した台湾人。北京の番組に出演し料理の作り方を紹介する一方、カフェを経営しながら生活している。スイーツもさながら本場台湾仕込みの『魯肉飯』も看板メニューの一つだ。

撮影現場は中国語と英語が飛び交う

crew

「Wok-N-Roll」番組クルー6人は、カフェでの集合時間10時半から、約40分遅れて到着。(遅刻に、董さんの母親は軽くおかんむり)。10時半頃、ディレクターから「市内の渋滞のため少し遅れる」という連絡が入ったものの、「渋滞は定番の言い訳だ」と信用していない。 司会者は米カリフォルニア出身のカイル。留学目的で中国に来て約3年。番組出演の機会を得た。アメリカに拠点を置くチャンネルでありながら、オフィスは北京にもあり、スタッフ、司会者は北京在住だ。アメリカ人司会+中国人ディレクター、アシスタント、カメラマンの合計6人という構成。ただし、放送は英語圏メインなので、放送用の言語は英語。現場でも指示も、司会者カイルに対しては、英語となる。(カメラアシスタントですら二カ国語を使い分けている・・・まあ当たり前なんだろうが)

アメリカ人司会者は、明るくて陽気だなぁ

MC

この日のテーマは『北京に台湾伝来の魯肉飯を美味しく食べられるカフェがある』。 ◎董シェフに魯肉飯の作り方を聞く ◎司会者、魯肉飯を食べて感想 ◎董シェフの祖父が以前、北京に住んでいた胡同の家を紹介する という撮影内容だ。 英語で料理を紹介しながら、感想を述べていくカイル。ディスカバリーチャンネルでもそうだが、アメリカ人司会者は基本的に明るい(どこの国でもそうか・・・)。陽気で、吸引力がある。ただ、そんなカイルにも、この日は、台本上で軽い落とし穴があった。

「タイワン・ナショナル・フード」

魯肉飯

司会歴3年のカイル、アドリブをどんどん効かせてくる。セリフも淀みない。その中での落とし穴は、「台湾」の扱いである。カイルが魯肉飯を紹介する時に、どうしても口から出てしまう、「タイワン・ナショナル・フード」(台湾国家の食べ物)という言葉。事前にディレクターから、或は、その前までのロケで念を押されているのであろう(『台湾を国家呼ばわりしてはダメだよ』的な)、自分でNGと気づき、もう一度、セリフを再スタートさせる。インターネットチャンネルとは言え、広電総局は番組内の表現を「無視」しているわけではない。 我々も台湾、中国のメディアに出る際には気にするワードなのであるが、中国(中国メディア)では、台湾を「一地域」と捉えている前提がある。そのあたりは台湾出身の董シェフも心得ている。

「ナショナル(National)」という言葉の鬼門・・・。

NG

我々外国人出演者は、台湾メディアでは「台湾国家」という言い方をするが、中国で「台湾国家」という表現をするとNGになる。撮影(取材)風景を見ている人間の構成によっては現場の空気が凍ったりすることもある。アメリカ人のカイルですら、そのタブーについて理解しており、それでも、習慣的に「ナショナル」という単語が出てしまい、「しまった!」という顔をしてやり直すのである。「魯肉飯は台湾地方の代表的料理」というのがこの日のロケでは基本線。

中国で台湾人・香港人司会者の起用は制限

制限

台湾人が中国で商売を展開させるケースは増えている。中国マスコミ界で生きる台湾人も増加傾向だ。しかし、流れは単純ではない。かつては台湾籍のタレントが中国の番組で司会をするケースもあったが、2011年頃から、台湾人、香港人の司会起用には国家による制限が出始めた。ある台湾人タレントは言う。「台湾、香港人司会者が大量に流入したら、中国(大陸)の司会者の居場所が確保できなくなるから、司会起用を禁止しているのではないか」。真意はもっと深いところにあるかもしれない。

台湾人・香港人の表現力は必要

guest

とは言っても、番組を面白く仕上げたい中国人制作者としては、台湾人、香港人が持つ豊富なユーモアセンスと展開力は番組に欲しいところだ。台湾人、香港人は申請が必要だが、「ゲスト」としての起用は認められる。ゲストとして認可させておいて、毎週のように司会さながらに番組に登場させるという『裏技』を使ったりもする。

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