情報発信基地、北京のスタジオ内は「免罪符」【MATSU氏@中国・台湾】

当地で作っていない番組の数々'

西方

以前、ご紹介した中国テレビシステム。中国は各地に放送局があり、各地方テレビ局が衛星を使い、全国に番組を届けるシステムを持っている。しかし、地方テレビが全ての番組について独自で撮影、制作を行ってはいない。ニュース番組は当地で発生したことを取材するので自社発だが、ショーとして制作される番組は中央の省にあるテレビ局や制作会社が委託を受けることが多く、特に西方地域の省はその傾向が強い。

湖南テレビと業務提携する青海テレビ

青海テレビ

例えば、青海省青海テレビの人気歌番組「花儿朵朵(ホワアールトゥオトゥオ)」は湖南省長沙湖南テレビに駐在するスタッフが制作している(長沙は中国経済の中心ではないが、湖南テレビの規模は中国国内で突出して大きい)。旅番組「我是冒険王」は、司会者、スタッフも全てが長沙におり、ロケは長沙発で各地へ飛ぶ。雲南省雲南テレビ、報道部門は省会の昆明にあるが、それを除くコンテンツのほとんどが北京で作られている。

1日に7本録りの撮影スケジュール

北京で制作されている雲南テレビの番組「養生匯」の収録。場所は中国労働関係学院の敷地内にあるスタジオ。(北京には街中の学校にもぽつりとスタジオが設けられている。)キャストは司会者2人、歌手やモデルなど年齢の若いゲスト4人に、医者や専門家2人で構成される。

養生匯

トークのテーマは
◎「汗をかくことの意味」
◎「海苔の効能」
◎「なすを食べる効果」
◎「アレルギーとは」
など。

毎日夕方に放送される30分番組で、1日なんと7本録り。スタジオは他の番組も使うため、一回一つの番組のセットを組むと、変えたくない。録れるだけ録ってしまう。30分の放送時間で収録には40〜50分かかる。司会の2人は、収録が終わるとメイク室に直行、衣装を着替え、髪型をセットし直しながら、ディレクターから次の収録のトークテーマ、進行内容についてレクチャーを受ける。

中国に来ている「健康ブーム」は景気上昇の表れ?

健康

ここ数年で、中国には「健康ブーム」が訪れ、どんな食べ物が血圧を下げるのか、どのようなダイエット法が望ましいか・・・など、健康や身体について取り扱う番組が増えた。(以前、日本でも各チャンネルがこぞって健康法を紹介していた時代があったが、ある番組の「つまづき」により、各局怖がってその類の番組を作りにくくなっている。)番組ディレクターは「以前、中国では健康について考える余裕もなかったが、景気上昇で生活にも余裕が出て、身体についての関心が高まっているのではないか。」と分析する。実際、「養生匯」は雲南テレビの中でも視聴率トップクラスを誇っているそうだ。

さすが、北京は中国の情報発信基地

誠人之美

同じ北京でも香港系チャンネル鳳凰の番組となるとガラリと変わる。鉄道部党校敷地内のスタジオで収録されている「誠人之美」は、若者をターゲットにしたトーク番組だ。司会は芸人2人で、ゲストは露出の多い衣装を着たモデル10人。トークのテーマも、「男性を惹き付ける方法」など、台湾のトーク番組を彷彿させるほどに華やかになる。メイク室や控室も香水の匂いで溢れる。
同じ北京内で撮影される番組でも、放送される媒体、地域によって雰囲気がまるっきり違う。スタジオの中はある種の「免罪符」。さすが、北京は、中国の情報発信基地。
''
放送は中国の地域の特性を表す''

特性

北京テレビのディレクターは言った。「放送は中国の地域の特性を表す。」と。たしかに、広大な中国、風土も違えば、地域によって番組の特色も違ってくる。収録現場に触れ、放送を見るだけでも、感じ取れる部分がある。



テレビ番組が表す特徴を少し紹介したい。

☆北京
専門家が出演する硬派な番組が多い。番組内容をチェックする広電総局を意識してか羽目を外さない。

☆上海
東方テレビ「中国達人秀」に代表される華やかな番組。世界の異文化、芸能を取り入れたような番組が多い。

☆湖南
湖南テレビの名前は全国に轟く。お笑い系、秀でた司会者のタレント性にかぶせる感じ。健康番組「百科全説」では、知識の専門性よりも、最後には笑いや娯楽に変化させていく勢いがある。ショッピングチャンネルでもその傾向が見られる。

☆南京
江蘇テレビの代表番組「非誠勿扰」に代表されるようなお見合い番組など、一般参加型の番組が目立つ。一般人からも芸能性を感じることができる。

☆大連
真面目で保守的な印象。番組作りの裏側を見ても、「遊び」の領域が少ない。

☆吉林
中国東北部の伝統芸能である「東北二人伝」の番組をひたすら放送する。お笑い「東北二人伝」は日本で言うと、吉本新喜劇のようなイメージに近いだろうか。

著者紹介

Matsu

テレビ司会者・番組プロデューサー

Matsu

台湾のテレビ局で放送の食をテーマにした旅行番組「大口吃遍台灣(大口吃遍世界)」のMCを務める日本人テレビ司会者、番組プロデューサー。
本島の東西南北、金門、馬祖、蘭嶼、緑島、小琉球等を食べ歩き、「食の風景」を伝えている。
ロケでは、台湾のみならず、中国、アメリカ、カナダ、日本なども訪問。
番組は、国際チャンネルを通じて、香港、シンガポール、マレーシア、マカオ、ベトナムなどアジア6か国、地域でも放送。
現在は、テレビ番組製作の傍ら、司会、執筆、講演なども行う。近著:「大口吃遍台灣〜タイワングルメの旅」(四塊玉)。

番組出演:「WTO姐妹會」(八大第一台)/「聚焦360度」(年代新聞台)/ 「台湾ミュージアム」(台湾国際放送ラジオ)/「大台北城」(緑色和平電台)/「キッチンスター」(浙江テレビ)/「今天吃什么?」(大連テレビ)など。座右の銘:做最壞的打算,盡最大的努力(最悪の想定をして、最大の努力をする

コメント


認証コード9889

コメントは管理者の承認後に表示されます。