台湾の運動会シーズンに思うこと 【市島宋氏@台湾】

11月も後半に入れば、冬の始まりですね。

日本ではすでにクリスマスの飾り付けが至る所に現れた頃でしょうか、忘年会の幹事は師走の隙間をハングオンで走り抜け、恋人たちは裏町通りでピットイン。 そんな喧騒をBGMに赤提灯で一杯ひっかける。あの、いつもの年末がそこまで来ている。

一方、台湾では平均気温が20度前後となり、一年のうちで最も過ごしやすい季節を迎えている。半袖では少し寒いけど、ジャンバーを羽織るには少し大袈裟かな。家にいる時にはジャージが丁度いいそんなこの頃なのだ。

さて、5月から続いた暑さからようやく開放されたわけだが、そうなると遅れ馳せながらスポーツの秋なのである。そして台湾では、日本と比べて1ヶ月遅い運動会シーズンが訪れるのだ。

日本で運動会といえば、結構大きなイベントである。
特に幼稚園から小学生を抱えるご家庭では、お母さんは朝早くからお弁当を作り、お父さんはPTAの手伝いでテントの設営を手伝ったりと大忙し、当然応援には力が入るわけだ。

筆者も例外ではなかったのだが、3年前に台湾へ移住してからというもの子供たちを通わせている小学校では、運動会と呼ばれる行事はあるものの徒走競争や体操など簡単な競技が平日の午前中に行われるだけで、まるで全学年で体育の授業を行うようなものだった。父母の協力も必要ないようで、これらの雑務(というか楽しみ?)から遠ざかっていた。

ところが、今年からは土曜日の開催になり、以前は徒走と体操だけで済ませていたプログラムも昼食を挟んで15:30までに大幅充実、親子参加型の競技もお目見得しているではないか。

更に目を引いたのは学年毎のクラス対抗リレー競争だ、筆者の子供達が通っている小学校は1学年8クラスほどある大きな学校なので相当見応えのあるレースが期待できる。これは見てみたい。

当日は予想以上の人集りで、今までの運動会では想像もできないほどの熱気に包まれていた。台湾の親達も、週末に開催され尚且つ子供達と参加できるプログラムなどがあれば応援に駆けつけたくなるのだ。

それにしてもここ数年で、台湾の人々にデジカメ一眼レフが普及したスピードたるや驚くべきものである。

会場でも、男女問わず望遠レンズを装備した本格的なカメラでシャッターチャンスを狙う父母の多いこと。そして改めて思うのは、この分野の日本メーカーの強さである。

NikonにCanon、SONYなど、みんな自慢のカメラやビデオを装備してトラックを囲んでいる様子は、まるで日本の運動会のようだ。

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そこで突拍子の無いことを思い付いたのだが、運動会を日本の輸出コンテンツにしてみてはどうだろう?

というのも、今回参加してみて台湾の運動会にはたくさんの改良点が有るように感じたのだ。

例えば校内放送一つをとっても、日本ではお馴染みのハチャトリアンの「剣の舞」などのようなテンポの良いBGMで競技を盛り上げるわけでもなく、担当の先生がマイクを手に「はい、3年生入場門に整列~」「そこ!競技が終わったら早く退場しなさい!」などと時には怒号も含めて絶え間なく会場内に大音声が響いている。

先生達か運営のために行う放送は当然必要だと思うが、マイクを片手に指揮台から延々と指示を出し続けるスタイルはあまりに一方的で筆者には強い違和感があった。台湾の父母達は、この終始命令口調で聞かされる校内放送に不快さは感じないのだろうか?と心配にさえなる。学校側の努力は認めるが、これだと落ち着いて応援していられない。

BGMの選考も含めこれら最低限のプログラム進行は先生達の指導を受けた上で高学年の子供たちに任せることでより子供達が自主的に活躍できる場が生まれるのではないか。

また、事前にプロブラム表を子供達にも渡しておき「参加する競技の2つ前までプログラムが進行したときには入場門に移動して整列」などルールを決めておけば、自主的なスケジュール管理と集団行動の訓練にもなる。

また、運動会の目玉であったリレー競争にしても子供達の技術は決して高いわけではなかった。個々人の運動能力は除外して、バトンの渡し方や受け渡しが行われるテイク・オーバー・ゾーン内での次走者の並び方、バトンを受け取った後のコース取りなど、まだまだ競技を取り巻く環境に指導の余地があるように見えた。

このような技術的指導マニュアルの他に、父兄への運動会のお知らせや会場設置などの協力要請、競技のプランニングや運動会までのスケジューリングを一括して引き受けるのだ。事前に公布するプログラム表には、日本メーカーのカメラやビデオの広告を入れておけば、運動会前の駆け込み需要も期待できる。

子供達にとっても今までより多く大会運営に参加しながら、競技の水準も上がるとなれば活躍の場がぐっと増え、集団で協力して何かを成し遂げるという得難い経験を得られることだろう。

近年は韓国が国をあげてK-popなど海外に発信しているが、日本はより教育面で貢献できるコンテンツを打ち出してみるのも面白いだろう。筆者個人としては、来年からはゴザと折詰弁当持参で参加しようか?リレー競争(接力賽)のバトンに似せて、『接力巻』と銘打った巻き寿司をクラスに配って激励するのも面白かろうなどと企んでいたりする。

著者紹介

市島宋氏:台湾福茶代表

市島宋

1974年、宮崎県生まれ。宮崎産業経営大学卒。
スポーツインストラクターを経て、国内のエンジニア派遣会社に入社。主に台湾、韓国、アメリカで数多くの半導体・液晶パネル工場立ち上げに携わる。
2000年、偶然口にした一杯の烏龍茶に魅せられてお茶の世界へ転身、台湾省 茶業改良場の有機栽培研究員と共に約2年間現地の茶農家を渡り歩き茶業全般を 学び2003年に台湾福茶を立ち上げる。
現在も台湾を拠点に、馴染みの茶農家 達とお茶を作りながら活動している。

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