急増する日本国内企業の香港への進出 【松本 博明氏@香港】

(2012年のコラムを再アップロードしています。)

今年に入って日本国内企業の香港進出が活発化している。
そこで第11回目の香港コラムは海外進出先に香港を選ぶ理由及び現地の進出事例についてお伝えしたい。
筆者
写真:最近進出先の人気エリア:觀塘(クントン)エリアにて筆者

【最近の香港進出事例】
昨今、中国広東省の工場人件費のコストが上昇し、タイやベトナム、インドネシアなどの東南アジア地域にシフトする製造業が増えている。それに伴い日本国内の貿易商社などが香港を中継拠点の機能として進出してくるケースが増えている。
特に顕著なのは雑貨・アパレル(縫製・衣料品)商社などである。
今までは中国内のOEM(委託加工工場)、協力工場及び下請メーカーがメインだったので日本から出張ベースで生産管理等のOEM先管理を行っていたが、OEM先が東南アジアとなると距離的問題も発生するのである。
香港をハブ拠点にすることによって、中国にも東南アジアにおいても距離的メリットが発生するのである。
また、香港IPO(International Purchasing Office:国際購買事務所)を香港・中国サプライヤーとの購買機能として香港に拠点を置くメリットもあるようである。
さらに新規サプライヤー開拓(香港、中国、東南アジ ア)も香港で可能になる。
ビクトリアハーバーにて
写真:夜景スポットとしても人気のビクトリアハーバーにて筆者

【香港マーケット(市場)としてのメリット】
次に香港をマーケット(市場)として店舗や営業所などを出店し進出してくるケースである。
香港は東京都の半分くらい面積に人口700万人が密集しているコンパクトな市場である。
また高所得者と中産階級、最近では中国からの富裕層観光客など購買意欲旺盛な顧客ターゲットも魅力であると言える。
また日本の文化(ファッション、アニメ、日本食品、ドラマ、日本酒・焼酎)も浸透している。
さらにほとんどの商品の輸出入は無税であり、規制が少なく、会社登記も極めて容易であることも挙げられる。
このように海外進出初心者マークの企業でも海外進出の第一歩として、香港市場への進出を選択する企業が増えているのである。
さらには香港で予行練習をして、将来的に中国本土の市場へ進出する事を計画している企業も多いのである。
クントン
写真:中心地尖沙咀(チムサーチョイ)までタクシーで約15分の觀塘(クントン)エリアにて

【海外進出の失敗事例】
次に良い話だけでなく失敗事例も知っておく必要があるので列挙してみたい。

1: 販売問題で失敗
「仕事は保証する」との口約束で、大口得意先から海外進出を求められ、人材不足の中、苦労して現地法人を立ち上げた。ところが、大口得意先が現地企業から約束の注文が来なくなり、結局撤退せざるを得なくなった。
また、現地の競合企業は品質・納期管理に劣るのが通常であるにもかかわらず、価格での競争を強いられ、採算が取れなくなり撤退した例も。

2: 労務問題で失敗
日本的慣行を持ち込み、日本人幹部で完璧な労務管理を試みたが、現地社員の反発を招き失敗。
ローカルスタッフは労働意欲が高く、勤勉でしたが、より良い条件を求めての転職者が相次ぎ、引き止めるために計画以上に賃金を引き上げざるを得なくなった。

3: 合弁相手が悪くて失敗
現地で販路を確保するために、投資斡旋機関から紹介された現地企業と合弁会社を設立したが、合弁先の社長がプレゼンテーションが上手で、市場規模や競合との優位性などを鵜呑みにしてしまい、相手方の実力チェックを怠ったため失敗。営業担当者の動きが悪く、受注が思うように伸びず、在庫管理も十分できないため返品が相次いだ。合弁相手の選択が悪かったと気づいたがあとの祭りで、現地市場からの撤退を余儀なくされた。

4: 調査が不十分で失敗
経営トップ自らが現地を訪問し、トップの判断だけで進出を決定。経営トップが早急に進出を決めてしまったため、その後は店舗の立地選定・設立手続きなどに調査内容が集中してしまうとともに、客観性を欠いた事業計画となってしまうなど、中小企業にありがちなケースですが、トップのビジネス感覚だけに頼るのは危険です。


このように海外での事業は予想しているより事態が悪くなることが多いといえる。そういう意味では常に撤退を念頭に置きながら事を進めるぐらいの慎重さが必要であるかもしれない。
弊社では展示会時の通訳、翻訳単発紹介や中国進出前の営業代行マーケティング、香港進出支援コンサルティング及び香港法人設立サポートもお手伝いしています。

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