台湾の『新聞台』(ニュース専門チャンネル)
台湾には、三立新聞台、TVBS新聞台、年代新聞台など「ニュース専門チャンネル」がいくつかある。基本的にニュースか報道系の討論番組で編成され、24時間の放送だ。部分的には「録画」もあるが、深夜でも「生放送」を基本として、突発案件にも対応できる形で制作されている。
それらのチャンネル、基本「ニュースのみ」で枠を埋めていかねばならない。まして「競争するチャンネルがいくつかある」…..という事情から、番組内容も少し「煽り」気味だ。
『歩行者青信号の時間が短い!』がテーマに
ある日のニュース、特集テーマは「ある歩行者用の青信号の時間が短い」というものだった。『獨家(スクープ)』扱いになっている。やり玉にあがったのは、台湾南部のある街の歩行者用信号。記者がレポートを始める。「この信号は青信号の時間が短く、市民は不便に感じ、危険なケースも起きています!」
台湾の歩行者信号には「残り秒数」が表示されるが、青になって表示されたのは「25秒」。記者が歩き始める。横断歩道の後半に差し掛かった頃に点滅が始まり、渡り終わる前に秒数が「ゼロ」になってしまった。
「なんと短いんでしょう。普通の速さで歩いても渡りきれません!」
あの手この手で取材を続ける
街頭市民へのインタビューも収録されていた。「時間が短いですね」「後半は走らなければいけません」と答える市民(表情を見ると、そこまで「怒っている」ようには見えない…おそらく記者の質問によって誘導された答えだろう)。記者の怒りのこもったレポートは続いた。杖をついた年配の男性を渡らせる。横断歩道の中間に来たところで、信号は点滅、渡りきらないところで車道の信号が青に変わり、男性が道路に残っているために車は減速で走行する….。
さらに記者は、信号を管理する自治体の担当者にインタビュー。
「このような信号で危険だと感じないのですか?!」
「たしかに危険かもしれません…」
「市民に謝罪をするべきではないですか!」
「……」
「責任逃れをするつもりですか!」
「…..申し訳ありません….」
と渋々、謝罪をする責任者。
日本だと「たかだか青信号の秒数で行政まで謝らせなくても」という感じだが、煽り気味での報道は台湾のニュース番組では少なくない。「台湾グルメ、揚げ物特集」を放送した後に「太り過ぎは『死』をも誘発する。揚げ物、ちまきはカロリーの摂取過多に!」というテーマが並べられたり….。ある意味、面白い!?