180度の方向転換で大逆転!ヒット商品の誕生【市島宋氏@台湾】

お茶は、宋の時代(960年~1279年)に広く市井に広がったと言われているので、かれこれ1000年続くロングセラー商品であると言える。
清の嘉慶年間(1796年~1820年)に入り、人々の生活に根付いた茶の文化と産業の一部が台湾へ渡り、近代的生産方式と国際市場への参入を経験したことによって独自の発展を果たしたのが現在の台湾茶であるのだが、
これほど長い歴史を持つ商品なので多大に心理的・哲学的価値を含んでおり、なかには陰陽五行思想などと複雑に絡み合ったお茶もあるから興味をそそられる。

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そのようなお茶の中に『白茶』と呼ばれるものがある。
原料となる茶の葉を産毛が生えた幼芽の状態で1つ1つ手摘みするという大変に労力を要するもので、出来上がった茶葉は白銀色に輝き、
『銀針』・『白牙』などと表現されるほど美しい外観を誇る高級茶だ。

また、お茶の作り方も特殊で、一般的な烏龍茶は太陽光に晒すことにより茶の葉の水分を減らして醗酵を促す『日光萎凋』という工程が行われるのに対し、
『白茶』は月光を利用した『月光萎凋』が行われる。太陽をその名の如く『陽』とすれば、
月光で作られることから『陰』の要素を持つお茶とされ、飲めば身体を冷やし夏場の暑い時期に良いとされる。

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月の光で作られる『白茶』のミステリアスな魅力に囚われたのか、それとも飽くなき高級茶への探究心であったのか、
台湾の茶業改良場という公的研究機関も深くこのお茶にこだわった時期があった。
結果として、より長く美しい芽をもつ『白鷺』という新品種の開発に成功したのだが、
残念ながら商品である『白茶』が台湾市場に広まらなかったために『白鷺』という品種は緑茶や烏龍茶の原料として転用され、
本来のポテンシャルを発揮できないままに現在に至っていた。

しかし、今年に入り筆者の友人でもある茶農家が一念発起!
この『白鷺』から紅茶を作ってみたところ、一般的な紅茶の原料では表現できないほど甘く芳醇な香味が生まれたために一挙に業界の注目が集まることとなったのだ。

『紅茶』といえば、原料の茶葉を延々と揉み続けながら作られるので、最後はこげ茶色に変色し、まるで紙縒り(こより)のように細長く捻れた外観に仕上がる。
『白鷺』の長所である可憐な美しさは望むべくも無いのだが、
しかし、それ以上に今回の香味は抜群のインパクトを備えていたのだ。おかげでこの紅茶は台湾を代表する某茶荘も取り扱いを開始、商品名も考案中とのこと。

それにしても、最大の長所である美しい外観を放棄して『紅茶』を作ってみたところ素晴らしい商品が出来上がったとは、
なんとも出来過ぎたエピソードではないか。本来『白鷺』が原料としての実力を発揮するのは、『白茶』として作られた場合なのだ。
少し専門的な話になるが、『白茶』は微醗酵茶と呼ばれ、数ある醗酵茶の中で最も醗酵の浅いお茶なのである。
一方、『紅茶』は、最も醗酵が深いお茶なので、言わば対極に位置する存在なのである。
(ちなみに、『白茶』は身体を冷やすのに対して『紅茶』は身体を温めると言われている。)

もともと陰陽五行のニュアンスを含んだ『白茶』【陰】を『紅茶』【陽】に転じたら瞬く間にヒット商品化したという点でも劇的で、なんだか現代に生まれた故事のようだ。

新しい成語でも考えてみようかな、などと『白鷺』が茂る茶園を眺めつつ遊んでいるのである。

 

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