ベトナムでの生活【小尾春氏@ベトナム】

日々の安穏に勝るものなし―ベトナムでの生活

サイゴン証券での勤務初日。最初の「びっくり」はお昼休みに皆が昼寝をすることだった。
ランチを終えて帰って来ると、オフィスは真っ暗。
椅子をいくつかくっつけて、そこに寝転んだり、床にゴザや寝袋を敷いて寝ていたり。
床で寝ていたスタッフに気づかず、うっかり踏んでしまい、お互い悲鳴を上げた。

サイゴン証券はベトナムローカル資本の会社で、500名近い従業員も全てベトナム人だ。
その中で唯一の外国人として働くわけだから、沢山の驚きがあるだろうな、と半分位は思っていた。

一方、私もベトナム初心者ではない。
ひととおりの「びっくり」も苦労も既に体験したつもりでもいた。
お昼寝だって、留学時代のホームステイ先でも、はたまた以前の仕事で調査のため回っていた農家でも経験していた。
お昼ごはんを食べた後、彼らは30分から1時間位のシエスタを取る。気候の厳しいところで生活していく知恵ともいえる。
けれど、証券会社のスタッフも同じことをするとは思わなかった。
それから、毎日スタッフの生活パターンを見ていて思ったのは、基本は地方(農家)とあまり変わらないなあということだった。

まず、早起きだ。皆5時か6時には起きて、運動などもしてから出社する。
出社時間は8時で、勿論トレーディング担当のスタッフはちゃんと出社してくるけれど、そうでなければ少し位遅刻をしても誰も気にしない。
子供を保育園などに預けてから出社してくるスタッフが多いという事情もある。
夕方位になると預けていた子供が戻ってきてオフィスで遊んでいたりすることも。
1時間半あるお昼休みは、昼寝するスタッフもいれば一旦家に帰って家族や幼い子供と食事をする人もいる。
生活の場と仕事の場が繋がっているし、家族や育児等の生活上の事情は当然のように優先される。
しっかりご飯を食べて、休んで、家族が笑顔。そんな日々の安穏が何より大切。
そのことは都会も地方も、証券会社のオフィスも市場の店先も同じのようだ。

都会も地方も、「大手企業」も市場も同じー。このことは私にとって、嬉しい発見だった。
私は元々農村開発に興味があり、農家を相手にした仕事をしてきていた。
農家の人は自然を相手にしながら日々働く厳しさに日々直面している一方、素朴で気さく。
昼間から宴会で盛り上がるのが日常茶飯事で、接していてとても楽しかった。
またその後の転職先だったベンチャー投資会社では、ベトナムのベンチャー企業や中小企業の経営者と接していたが、やはり彼らも大半が同じような特徴を持っていた。そういう彼らの人柄が、私にとってベトナムの大きな魅力だった。

けれども、この会社に移ってきてから接する人達は、それまで接してきた人達とは少し違った。
まず、壁があるというか、すぐには踏み込ませない。
情報を教えるか、付き合うかどうか、時間を割くかどうか、相手の値踏みをしているのがわかってしまう。
付き合い方も案外ドライだ。私が知っている農家のベトナム人のような宴会をよくするのは、地方出身者が多いIT部門位のようだった。
仕事が忙しく慌しい中でそうなっていくのは、当り前ではあるけれど、戸惑ったのも事実だ。
金融業界と言えばベトナムでも花形で、そうそうたる経歴の人が集まっている。
やっぱり都会で働くエリートは違うのかな、とも思っていた。
けれども、一皮むいてしまえば同じ。昼寝をしている彼らを見て、これならやっていけそうだなと希望が湧いたのを覚えている。

ところで、生活の場と仕事の場が繋がっているのは、働く側からするととても楽だし、働きやすい。休みなども融通が利く。ベトナムでは働く女性が多いことも影響しているのだろう。
しかし、仕事の質という点から見ると、やや問題があるかなと思う。
仕事に集中しきれていないし、そうすると、やはりおおざっぱな成果しか出てこないように思える。生活の平穏と家族との幸せを何より大切にする価値観とビジネスで求められる成果やスピードにどう折り合いをつけていくのか。
その辺は、近年になってようやく経済が順調に発展し、民間企業が増えてきたベトナムでは、これからの話なのかもしれない。

この話は改めて別の機会に書きたいが、とにかくこの価値観がベトナムの魅力でもあり、また時には好ましくない形としても時々顔を出すように思える。

最新情報をチェックしよう!
>アクセス

アクセス

台湾威凌克股份有限公司
(ベンチャー・リンク台湾)
台北市中山區松江路158號8樓之5
☎ 日本語でどうぞ
台湾から 02-2568-2334
日本から 090-9534-4176
LinkBiz台湾のオフィスは、MRT中和新蘆線、松江南京駅、8番出口から徒歩3分の便利な場所です。

CTR IMG