経済発展・幸福社会の理想と現実【野瀬正一氏@シンガポール】

シンガポールは高学歴、高収入、そして社会的地位の高い人を積極的に受け入れる方針を打ち出しています。
シンガポールほどの小国ですと、外から受け入れられる人数は限られます。
必然的に、国の役に立つ人材を選別します。
これは至極理にかなった行動で、上記の方々は治安を脅かすような犯罪をする可能性が低いですから、移民を受け入れても犯罪が多発するようなことはありません。
シンガポールではシンガポール人と結婚したからと言って永住権がもらえるような仕組みもありません。
結婚という主観的なものでその人の能力を認めるはできませんから、国に役立つ人材が欲しいということと誰でも結婚さえすれば住めるという制度は矛盾します。
よって政府が許可した人で、かつ保証のしっかりした人だけがこの国に住むことが可能です。

また低賃金で働くメイドや土木作業員などは、それとは別枠で受け入れ徹底管理しています。
合理的、そして理にかなった政策。人権や人道的見地では許されないようなことも、この国は行なっています。

私たち日本人はどこまでこの感覚について行けるでしょうか。
日本では人は生まれながらにして平等と教わり、性善説、そして弱者を守るべきという思想をもとに社会の仕組みを作って来ました。
反弱肉強食、企業の成果主義も格差を助長したかのような取り上げられ方をしているのを見ると、シンガポールのようなドライな割り切りを日本人ができるようになるとは考え難いものがあります。
しかし、シンガポールにはホームレスはほぼいません。
階層の違いはあれどある程度の暮らしを保てる仕組みがあります。
国民の満足度も日本より高いでしょう。
翻って、日本では多くのホームレスがおり、生活保護は増え、若者は働く気力を失い、格差が叫ばれています。
これらの事実は理屈では説明できますが、感情的にこの差を埋めることは…少なくとも私は出来ずにいます。

今や世界中で格差と貧困が話題になり、私たちは途上国で作られた安い製品を喜んで使っています。
20年前と比べて技術は進歩し、安くていい物が手に入るようになり、物質的な欲求は叶い易くなりました。
しかし幸福感は満たされづらくなっているのではないでしょうか。

発展すればするほど広がる格差と社会不安、そして環境問題…。
人類の新しいステージを迎えるにあたり、私たちは何を準備したら良いのか。
大きな課題を感じています。

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