第17回 個人的な味の好みを主張する中国人司会者

(2013年のブログを再アップロードしています。)

リャンフェンは食べたくないと言い放つ中国人司会者

キッチン

日本のキッチン番組で、司会者が「これ私、大好物なんですよね」「これはあまり好きではない」といった『個人的な』味の好みを入れるということはほとんどない。一方、中国人司会者は番組中に自分の好き嫌いを平気で主張する。


棚

中国中央電視台で放送されているキッチン番組「天天飲食」。一流シェフが料理の作り方を教えるという硬派な番組だ。ある日の料理は、中国の屋台でよく見かける「凉粉(リャンフェン)・・・澱粉を使った麺のような食材」。司会者は「実は、私はリャンフェンは好きではない。特に街角の屋台では、あまり食べたいと思わない。なぜなら、屋台のリャンフェンは何を入れて作っているか分からないからだ」。のちに「でも、この(番組に出演している)シェフの店のリャンフェンは安全で味も美味しい」というフォローは入れるものの、やはり日本ならば放送するのは無理だろう。




缶詰を批判する司会者

司会

別の回では、「タケノコの缶詰はすっぱくて渋い。どうしても缶詰を食べざるを得ない時だけ食べればよい。航海に出た時や、山に登った時・・・。」缶詰ではないタケノコが美味しい、ということを強調するための表現なのだろう。しかし、一方で缶詰会社への批判と取られかねず、災いを避ける傾向にある日本のテレビならば、これも放送されないだろう。
司会者が「個人的な味の好み」を言うこともある。茄子炒めをシェフが作っている時に「私は茄子にニンニクを和えたものの方が好きなんですよ」など。

見栄えを整えさえすればよい

モニター

中国の収録用キッチンスタジオ、入るとまず、煙草のにおいがきつい。台湾では屋内で喫煙はできないが、中国ではそれがない。むしろ、挨拶がわりに煙草を薦められる。司会者、カメラマンも収録直前まで煙草を吸っており、灰皿に煙の残るたばこを置いて、キッチンへと向かうのだ。調味料も雑多に積み上げられていて、お世辞にもキレイとは言えない。床も油で少しツルツルして滑りそうになる。

皿

収録前、皿を拭くスタッフ。よく見ると、布巾は、スタジオに常に置いてあるもの。布巾というより雑巾に近く、汚れている。「清潔にする」というよりは「カメラで撮影される際に見栄えを整える」類の手入れなのである。


箸を忘れてきても、手で何とかする

まな板

ロケでは、ディレクターが箸やスプーンといった小道具を忘れてくるというハプニングも多い(日常茶飯事なのでハプニングとも呼べないが)。ある収録回、移動車中のロケで、タレに漬け込まれたリャンフェンがプラスチック容器に入れられ、差し出される(リャンフェンは中国料理番組によく登場する)。
司会者A、Bの会話。
A「この地方のリャンフェンは特に美味しいですよ。是非食べてみて」
B「美味しそうだ」

料理

と言って容器を持つものの、箸がないことに気づく。「箸は無いの?」ディレクターに確認。無い、とディレクター。「箸が無いから仕方ない」と言って手で掴んで食べようとする。ベタベタのタレに手が滑り、落とす。汚れがシャツにつく。
A「あら〜汚れがシャツについた。運が悪いね〜」とBを茶化す。(放送上は「爆笑」の効果音)
日本で移動車中のロケならば、箸を忘れていれば、途中でコンビニエンスストアに寄り購入するだろう。しかし、中国では「箸がないことくらい、些細なこと」として、ロケを進めてしまう。

スプーンを忘れても、手で何とかする

街並み

青海電視台のロケ番組。雲南省で養蜂業者の取材をしていた司会者は、現地で獲れた蜂蜜を指差しながら
「この蜂蜜はハチミツレモンにすると美味しいんですよ。やってみましょう!」
と提案、レモンと熱湯をお湯に注ぐ。(ロケの段取り通り)しかし、スタッフがスプーンを忘れていため、そのまま混ぜようと人差し指をお湯の入ったカップに突っ込み「熱〜!」とヤケドをしていた。(そして、それがそのまま放送されている)
日本では構成、編集に整合性、細かさを求める。ましてスタッフの舞台裏での不手際は画面ではほとんど出さない。中国では、少々の不手際なら修正せず、放送にもドンドン出してくる。まあ、もともと、「不手際」だと捉えていない節もある。

著者紹介

Matsu

テレビ司会者・番組プロデューサー

Matsu

台湾のテレビ局で放送の食をテーマにした旅行番組「大口吃遍台灣(大口吃遍世界)」のMCを務める日本人テレビ司会者、番組プロデューサー。
本島の東西南北、金門、馬祖、蘭嶼、緑島、小琉球等を食べ歩き、「食の風景」を伝えている。
ロケでは、台湾のみならず、中国、アメリカ、カナダ、日本なども訪問。
番組は、国際チャンネルを通じて、香港、シンガポール、マレーシア、マカオ、ベトナムなどアジア6か国、地域でも放送。
現在は、テレビ番組製作の傍ら、司会、執筆、講演なども行う。近著:「大口吃遍台灣〜タイワングルメの旅」(四塊玉)。

番組出演:「WTO姐妹會」(八大第一台)/「聚焦360度」(年代新聞台)/ 「台湾ミュージアム」(台湾国際放送ラジオ)/「大台北城」(緑色和平電台)/「キッチンスター」(浙江テレビ)/「今天吃什么?」(大連テレビ)など。座右の銘:做最壞的打算,盡最大的努力(最悪の想定をして、最大の努力をする

コメント


認証コード5484

コメントは管理者の承認後に表示されます。