中国お見合いビジネス事情 【村上友治氏@深圳】

日本では1960年代を契機に恋愛結婚がお見合い結婚比率を上回った。
5年ごとに行われている国立社会保障・人口問題研究所の出生動向基本調査の1982年版では29.4%だったお見合い結婚比率は、同調査2010年版では全体のわずか5.2%となっている。中国では同様の調査報告はないが、一般的に都市部は恋愛、農村ではお見合いが多いと言われていた。
ところが、最近都市部でもお見合いブームが起きている。下記に関連する4つの話題を取り上げてみた。

①本人不参加お見合い大会
以前、重慶市で毎月行われ、毎回の参加者が数百人にもなるお見合い大会を筆者は見学したことがあった。そこには中高年、それも女性の参加者が意外に多かった。話を聞くと彼女らは、息子の嫁を探しにきた母親達であった。首には息子のプロフィールカードを掛けて熱心に女性参加者に息子のアピールをしていた。少数であったが、男性求婚者もいた。彼らに話を聞くと、多くの家庭では母親が勝手に参加申し込みをして息子の了承を得られない場合は母親が代理で参加しているという。

②お見合いテレビ番組
現在中国ではお見合い番組が大流行している。
三大番組と言われているのが
1. 江蘇衛星テレビ「非誠勿擾」(http://www.iqiyi.com/zongyi/fcwr.html?src=aldzy)
2. 浙江衛星テレビ「為愛向前冲」(http://yule.sohu.com/s2010/zjwaxqc/
3.南衛星テレビ「我們約會吧」(http://www.iqiyi.com/zongyi/wmyhb.html?src=aldzy
である。
どの番組も内容は似たり寄ったりで、十数名の女性に対して1人の男性が自己アピールを行い、女性が選ぶという構図である。どの番組にも名物司会者が存在し、絶妙のトークで参加女性の結婚に対する本音を引き出している。現代中国女性の価値観を理解できる番組でもある。

③お見合いサイト
インターネット上には無数のお見合いサイトが存在しているが、中でも有名なのが、 世纪佳缘(http://www.jiayuan.com/)と百合网(http://www.baihe.com/)である。
特に前者は、今年5月アメリカナスダック市場に上場を果たし、時価総額280億円以上と見積もられた。現在登録ユーザー数4000万人、2011年度の売り上げが40億円以上、営業利益が3億円以上見込まれる優良企業となっている。

④加熱する富裕層のお見合いパーティー
お見合いブームは何も一般市民の間だけではない。
資産3億円以上、年収1200万円以上。今年7月にある地方都市で開かれたお見合いパーティーの男性参加条件だ。しかも入場料も100万円と破格にもかかわらず募集人数にはすぐに達したという。 女性の参加費は無料であるが、お見合いにいたるまでには、まるでミスコンのように水着審査、特技披露などの予選を勝ち抜かなければならない。

このように中国では様々なお見合い商品が生まれ、その市場が拡大の一途を辿っている。
その背景には中国が抱える社会問題が関係する。
現在中国には18~30歳の結婚適齢期人口が2億人を超えるといわれている。しかし、一人っ子政策、しかも男性が大事にされるあまり、中国では圧倒的に女性が不足している。最新の調査では、総人口に対する男女比率は118:100となっている。
また、既に高齢化社会に突入し始めている中国であるが、高齢者への社会保障がまだ確立されていない。このような状況の下、子供の配偶者探しは一家を挙げての一大事となっている。老後の面倒をみてもらえる子供夫婦が一家にとっての希望となるからだ。そのため、配偶者、特に娘婿への経済的要求は高い。持ち家、自動車、多額の結納金だ。このため、富裕層は別にして結婚したくても出来ない男性が増えている。女性も結婚は自分の意見よりも、親族の意見を尊重する傾向が強いので、結局婚期を逃すパターンが多い。
更に経済の急速な発展に伴い、社会での女性の地位が向上するにつれ、適齢期を過ぎても結婚しない、出来ない女性が増えてきたことも大きな要因の一つと考えられる。

様々な要素が絡み合った結果、拡大するお見合いビジネスだが、ネット関連などは参入ハードルもそれほど高くないので、過当競争が始まっている。また、お見合い番組出演者の「拝金主義」にも社会的批判が集まり、政府主導で番組の自粛を促すなどその周辺は慌しい。以前筆者はある女性を紹介されたことがある。指定したレストランの個室に赴くと、親族一同20人程が集合しており、入室するなり彼女の親戚から「いつ結婚するんだ?結納金はいくらが相場だ。」と初対面で言われた。実は相手にはお見合いと伝わっていた。人生の伴侶を見つけるためのお見合いもビジネスライクに捉らえる商売魂は賞賛できる部分もある。日本的に言えば「気持ち」が一番重要と思うのだが、それでは伴侶が見つからないのであろうか。

著者紹介

村上友治氏
元威凌克餐飲(深圳)有限公司 火間土海岸城店 店長

村上友治氏

1976年和歌山県白浜町生まれ、兵庫県淡路島育ち。
大学卒業後、3年間日本で働いた後退職。2003年に中国西安西北大学へ語学留学。
その後、雲南省昆明と四川省重慶でホテル営業マンとして日系企業営業を担当。
2008年ベンチャー・リンク深圳に店舗管理マネージャーとして入社。
毎日の刺激的な変化の中で揉まれながら、
これからの中国を担う人材育成のために奮闘中。

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