香港における人材採用虎の巻 【松本 博明氏@香港】

今年に入って日本国内企業の香港進出が活発化している。
弊社にも香港進出された日本国内企業から現地での人材採用について、相談を受けるようになった。
そこで第10回目の香港コラムは香港における人材採用虎の巻についてお伝えしたい。
画像の説明
写真:香港名物の巨大看板

【香港人募集の方法】
香港人募集の方法についてはいくつかの選択肢がある。まず弊社のような人材紹介会社を利用することが挙げられる。
日本語人材で主に会計、総務、人事、貿易(シッピング)、営業事務、セールス、秘書などの職種であれば豊富な登録人材を抱えている。人材募集から登録面接、人選まで代行してくれるので、マッチング精度の高い人材を採用面接することが可能である。
費用については成功報酬型が多く、何人面接しても採用決定まで一切費用が掛からないなどメリットも多い。年収の15%前後のコミッションを設定している会社が多い。 雇用後も数カ月の保証期間がある人材紹介会社がほとんどだ。
次に求人広告が挙げられる。香港ではJOBSDBなども便利で人材の反響が多いようだ。
また労工処(日本でいう職安)の求人サイトであれば無料で求人募集が可能だ。
ただ、様々な人材が応募してくるので、自社で書類選考、面接等をすることになる。
手間は掛かるが採用コストを抑えたいなら求人サイトも選択肢になるだろう。
また、駅構内などで配布している、求人フリーマガジンも挙げられる。
上記の求人広告の費用は3000-10000HK$(3万円-10万円)くらいが相場である。
一般的に求人広告媒体は非日本語人材、とりわけ店員やワーカーなどの募集に向いていると言えよう。
湾仔の大通り
写真:湾仔の大通り

【香港人雇用における福利厚生について】
香港では月給(サラリー)以外に法定で決められている福利厚生がある。
MPF(強制積立年金制度):これは日本における厚生年金のような制度である。雇用主と被雇用者がそれぞれ月給の5%ずつを拠出し積み立て、65歳になると年金として支払われる制度である。これは60日以上雇用した段階で加入義務が発生する。
労災:これはオフィス単位で入る加入義務があるもので従業員数などに応じて金額が異なる。
有給休暇:雇用1年後から付与義務が発生する。1年目は最低7日であり、2年目以降8日、9日、10日、最大11日となっている。
賞与:これは義務ではないが、香港では一般的に旧正月前に1カ月分の賞与を支払うのが一般的である。企業によっては業績賞与等を支払う場合もある。
通勤交通費:香港では通勤交通費を付与している企業は少ない。遠隔地から通勤するスタッフに一部支払う企業もある。
上記5点が一般的な香港における福利厚生の内容である。他にも様々な制度がある。香港の労工処(日本でいう職安)において基本的な労働規定について冊子を配布している。(インターネットでも閲覧可能)
香港から広州への直通特急
写真:香港から広州への直通特急

【香港人大学新卒の傾向】
香港の大卒者は世界的水準からも教育水準が非常に高いといわれている。
なぜなら香港にある大学はもともと数が少なく、どの大学も日本の六大学くらいのレベルと言われている。
香港社会も受験戦争が激しく、そこを勝ち抜いてきたごくわずかな子ども達しか大学進学はかなわないという。
とくに有名なのは香港大学、香港中文大学、香港科技大などである。
香港大学はアジアの大学ランキング1位である。(ちなみに東大は5位)【アジア大学ランキング2010より】
また香港大学や香港中文大学には日本文化学科等があり、毎年各大学50名程度の新卒日本語人材が卒業している。
弊社にも彼らが職探しで相談にくるがとても日本語堪能でヒューマンスキルの高い人材が多いのが特徴だ。
彼らの初任給は10000-14000HK$(約10-14万円)くらいである。
彼らの特徴と挙げられるのは日系企業志望度が非常に高いということである。
インターンやアルバイトでも日本企業で日本の商習慣やビジネスマナーなども学びながらキャリアアップしたいという傾向が強い。
すでに香港系企業などで香港の商習慣に染まってしまった香港人人材でなく、一から人材育成していくという選択肢もおすすめできるであろう。
夜のラッシュアワー
写真:夜のラッシュアワー

【香港人雇用の際の注意点】
香港人を雇用する際の注意点についてよく相談を受ける。
様々なケースがあるがここでは何点か事例を挙げてみたい。
小口現金や小切手など金品に関わる業務は任せっきりにしない。日本でもそうかもしれないがこれについては性悪説で対応したほうがよいと思われる。
なかには小口現金を横領したり、倉庫の在庫商品を横流ししていたりという事例もあるようだ。彼らに言わせれば、そこに置いてあるから悪い。騙される方が悪いという論調なのである。
タイムカード改ざんなどもよく聞くトラブルである。同僚社員にカードの代理打刻を頼んでいたりするケースもあるようだ。
勤務時間内の飲食。香港系企業などでは朝出勤したあと、就業時間内であっても、朝食を食べながら仕事をする習慣がある。そのような社員が日系企業においても悪気がなく、行っているケースをよく耳にする。入社前に事前説明しておくとよいだろう。
香港人は一般的に転職回数が多いと言われている。仕事を覚えて1年くらい経った後に退職されてしまうということもよく耳にする。
また3年以上就業していた社員に業務のほとんどを任せっきりにしていたため、突然の退職によって業務に多大な支障が出たというケースもある。
雇用主としてはいつ辞められてもいいような仕組み作りを普段から整えておくことが望まれる。また退職事前通告については双方1カ月以上前に宣告するのが一般的なルールになっている。
総じて、大卒の日本語人材や日系企業での就労年数が長い人材は日系企業への就労意欲も強く、企業側とのマッチングは比較的うまくいくケースが多いと思われる。最後に郷に入っては郷に従えの通り、ここは外国である。あまりに上司が日本風を押しつけたり、強要しすぎて生じるトラブルも多いと聞く。香港でビジネスをする日本人として、香港でビジネスをさせてもらっている、香港社会に適応するスタンスも重要であると肝に銘じてビジネスをしていくことが肝要であろう。

著者紹介

松本 博明氏

松本 博明氏
キャリアインテグレーション代表取締役
1998年新卒で人材総合サービス パソナ 入社。
海外での活躍を目指し同社退社。
2005年にCareer Integration Asia Co.,Ltd. を香港にて設立する。
その後国内上場人材サービス会社へ株式売却後2010年にCareer Integration Co.,Ltd.に社名変更。
新卒で就職してから一貫して人材ビジネス業界にて人材コンサルタントに携わる。
現在は東南アジア・香港・中華圏エリアの日本人技術者に特化した人材紹介サービス
香港ワークス・華南ワークス・タイフィリピンワークス・ベトナムワークス ・インドネシアワークス・
カンボジアワークス・ミャンマーワークスなどアジア各地にサービスを展開する。

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