鍵盤老師と呼ばれる効果音の専門家 【MATSU氏@中国・台湾】

なんだ、このヘンな音?

GTV

「ティロロロロン、ガーガー」
台湾のトーク番組、バラエティ番組を見ていると、時折、奇妙な効果音が聞こえてくる。現場で付けられた適当な感じの「エレクトーン」の音。初めて台湾の番組を見た時、「なんだこの効果音は?」と不思議に感じた。司会者やゲストがふざけたこと(ボケ)を言えば、奇怪な音が入り、真面目な話をすれば、しんみりとした音楽が流れる。

笑い声は、編集の際につけられた「効果音」

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日本でかつて放送されていた「オレたちひょうきん族」では、芸人がギャグを飛ばした後、観客の「笑い声」が入る。「志村けんのバカ殿様」でも同様の笑い声が入っていた。子供だった私は「どこに観客がいるのだろう?」と不思議に思っていた。後に、あの笑い声が「編集の後に付けられる効果音の音源で、実際に現場で客が見て笑っているわけではない」ということを知る。

拍手の練習をさせるのは、拍手の音声を収録するため

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日本や台湾での、観客を入れた収録現場に行かれたことはあるだろうか。収録前の前説(まえせつ)で、ディレクター(番組によっては若手芸人の場合もある)が、軽く面白いことを言いつつ拍手の練習をさせたりする。あれ、実は、「編集で後付けするための笑い声や拍手音を収録するため」なのだ。拍手音は効果音CDなどから付けることも可能だが、同じスタジオで録る方が音のレベルが合いやすい。後に番組を編集する時に「便利」なのだ。

「鍵盤老師」と呼ばれる効果音の専門家

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私は台湾トーク番組の「エレクトーン」について、当初「後から付けられたもの」だと思っていた。しかし、後に現場のアドリブで付けられているものだと知った。 八大電視台。フロアでディレクターから「鍵盤老師」と呼ばれる人物を紹介された。聞くと、この老師は、八大の人気番組「娯楽百分百」担当。スタジオを覗くと、収録されている手前にエレクトーンが置かれ、老師が現場の雰囲気に合うように曲を入れたり効果音を付けたりしている。雰囲気に合わせ、正式な曲を弾いたりする「プロ」なのである。適当に鍵盤を押さえているのではない。音楽が流れると、現場の盛り上がりは増し、ノッてくる。

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「この手法だと、後に編集しづらくないのか?」とディレクターに聞いてみると「特に問題はない」という答え。番組を見ると、曲が中断しているところもあるが、そのへんはおかまい無しのようだ。現場の雰囲気優先。全ての番組が鍵盤老師を雇っている訳ではないが、主要な番組にはラインナップされている。

貯め録りではダブル鍵盤老師

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   スタジオの隅に置かれたエレクトーンは台湾テレビの特徴とも言える(台湾を手本に番組を作っている中国のテレビ局でも老師の存在は欠かせない/中国では「音楽老師」と呼ばれている)。貯め録り(一日に何本も録ること)をする時には、一人の老師では持たず、二人が並んで座り、鍵盤を叩いている。 これまで日本が番組の手法を輸出している、と言われてきた。「台湾には日本からのパクリものが多い」とされてきた。しかし、今後、もし日本の番組で、エレクトーンの音が聞こえ出したなら、「台湾からのパクリ」と考えてよいだろう

著者紹介

Matsu

テレビ司会者・番組プロデューサー

Matsu

台湾のテレビ局で放送の食をテーマにした旅行番組「大口吃遍台灣(大口吃遍世界)」のMCを務める日本人テレビ司会者、番組プロデューサー。
本島の東西南北、金門、馬祖、蘭嶼、緑島、小琉球等を食べ歩き、「食の風景」を伝えている。
ロケでは、台湾のみならず、中国、アメリカ、カナダ、日本なども訪問。
番組は、国際チャンネルを通じて、香港、シンガポール、マレーシア、マカオ、ベトナムなどアジア6か国、地域でも放送。
現在は、テレビ番組製作の傍ら、司会、執筆、講演なども行う。近著:「大口吃遍台灣〜タイワングルメの旅」(四塊玉)。

番組出演:「WTO姐妹會」(八大第一台)/「聚焦360度」(年代新聞台)/ 「台湾ミュージアム」(台湾国際放送ラジオ)/「大台北城」(緑色和平電台)/「キッチンスター」(浙江テレビ)/「今天吃什么?」(大連テレビ)など。座右の銘:做最壞的打算,盡最大的努力(最悪の想定をして、最大の努力をする

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