留学に対する姿勢【池田 佳史氏@オーストラリア】

最近の若い人たちは海外に出たがらないということを聞いたことがあります。
就職でも海外勤務を嫌がり、留学しても就職を日本国内でしか考えない若者が多いようです。

逆に、スポーツや音楽、芸術関係は海外に出る若者が多くなってきているようで、海外で活躍している日本人のニュースを聞くと、とても嬉しく思うと同時に勇気付けられます。

留学は華やかなものではなく、苦労も多いですが、学ぶことも得ることもたくさんあります。
留学をすると、母国である日本を客観的に見ることができ、海外で言葉の違いや文化の違いを体験して、日本で当たり前だったことは当たり前ではないと感謝できます。

食事ひとつにしましても、洋食が続きますと日本食が恋しくなりますし、日本では“たったこれだけ?”と不平を言うようなシンプルな日本食でも有難く食べるようになります。
昔に比べて、留学そのものがとても簡単にできるようになりました。
是非、学生達は留学の機会が与えられたならば、留学を体験して欲しいと思います。

ただ、留学といいましても、短期留学に長期留学、交換留学、親子留学等、様々な留学スタイルがありますが、やはり、留学しても現地の人と交わらず、遊んでばかりいてはその国を理解できません。

知っていることと理解していることとは違います。
海外旅行をした人が“その国を知っている”と言うことがよくあるようですが、観光スポットだけを回り、ブランド品店や免税店で買い物をするだけでは、知っているどころか、理解しているという域には到底達しません。

もちろん、その国に生まれて育たなければわからないようなこともあります。
たとえば、日本でも侘びや寂びといったことが挙げられると思います。
しかし、その国を理解しようと努力はすることができると思います。
留学でも現地の人たちときちんと交流ができて、初めて留学の意味があったということができると思います。

現地の人はやはり日本の歴史や文化を知りたくて、多くの質問をしてきます。

しかし、残念ながら多くの日本人学生が答えられないようで、話をすることといえば、芸能関係やファッション、ゲームだけで、国際交流にならないと取りやめになったという話もしばしば聞きます。

語学を学ぶだけに留学するのではなく、その国の文化や歴史に興味を持ち、そして自国の文化や歴史に誇りを持って現地でディスカッションできて、初めて交流の意義が見出せるのではないでしょうか。

三笠宮家の彬子さまが、英国留学の意味について次のように語っておられます。

「日本を出るまで、自分が日本人であるという意識をほとんど持つことはありませんでした。
外国に行って初めて、そのことを強く感じました。当時、学部生で日本人は私一人だったので、日本に関する質問はすべて私に回ってきました。
…やはり自分が海外に出る時は日本の代表なのだということを実感するようになりました。
いかに自分が日本について知らなかったのかを思い知らされました。
…また、日本に対するまちがったイメージが外国にはあるのだと感じました。
…海外に向けても日本の姿をしっかりと発信していかなければいけないという思いも新たにしました」

まだまだ、外国では日本について、他のアジアの国と似たり寄ったりで汚いところだろう、芸者は売春婦でその辺りにたくさんいる、日本はくじらを食べる野蛮な国だ、戦争中も捕虜を丁重に扱わず慰安婦も強制連行したひどい国だ等、間違ったイメージや解釈をしている人たちがいることも確かです。

私たち自身が、自国に対しての正しい歴史や文化を認識していなければ、訂正することも反論することもできません。

そういったことからも、留学中は日本という看板を背負っているという感覚を持ち、日本の良さを外国の人たちに知ってもらえるよう努めることが大切だと思っております。

一方で、日本に来たことのある外国の有名な方が、日本の素晴らしさについて以下のように語っています。

15491549年、キリスト教布教のために日本にやってきたフランシスコ・ザビエルが、本国に送った手紙に、

「この国の人々は今までに発見された国民の中で最高であり、日本人より優れている人々は異教徒の間では見つけられない。
彼らは親しみやすく、一般に善良で、悪意がない。驚くほど名誉心の強い人々で、他の何ものよりも名誉を重んじる。
大部分の人々は貧しいが、武士も、そういう人々も貧しいことを不名誉とは思わない」

とあります。

イギリス人女性旅行家で紀行作家のイザベラ・バードは18781878年5月5に東北や北海道を旅行し、

「ヨーロッパの国の多くや、所によってはわが国でも、女性が外国の衣装で一人旅をすれば現実の危険はないとしても、無礼や侮辱にあったり、金をぼられたりするものだが、私は一度たりとも無礼な目に遭わなかったし、法外な料金をふっかけられたこともない」

と書きました。

18561856年、通商条約を結ぶために来日したハリス提督は、

「彼らは皆よく肥え、身なりもよく、幸福そうである。
一見したところ、富者も貧者もない。
これが人民の本当の幸福の姿というものだろう。
私は時として、日本を開国して外国の影響を受けさせることが、この人々の普遍的な幸福を増進する所以(ゆえん)であるかどうか、疑わしくなる。
私は質素と正直の黄金時代を、いずれの他の国におけるよりも多く日本において見出す。
生命と財産の安全、全般の人々の質素と満足とは、現在の日本の顕著な姿であるように思われる」

と日記に記しています。

科学者のアインシュタインは、

「世界の未来は進むだけ進み、その間幾多の争いは繰り返されて最後に戦いに疲れるときが来る。
その時人類は誠の平和を求めて、世界的な盟主をあげなければならない。
この世界の盟主なるものは武力や財力ではなく、あらゆる国の歴史を抜き超えた最も古く尊い家柄でなければならぬ。
世界の文化はアジアに始まってアジアに帰る。それにはアジアの高峰、日本に立ち戻らねばならない。
我々は神に感謝する。
日本という尊い国を創ったことを」

と言っています。

私たちの日本には歴史、文化、伝統、言葉、料理など素晴らしいものがたくさんあり、世界に誇れるものだと思います。
自慢ではなく誇れるのです。それと同時に、それぞれの諸外国も素晴らしい歴史や文化があります。
自国をリスペクトできない人は他国のリスペクトもできないでしょう。
その良さを分かちあい、理解しあえる機会だからこそ、留学がすばらしいのではないでしょうか。

著者紹介

池田 佳史氏:Sports & Education Projects Australia Pty Ltd 代表
メールアドレス:sepapl@bigpond.com.au

池田 佳史

1972年大阪生まれ。
1991年オーストラリア・アデレードに家族で移住する。
親に頼らず、苦学の末オーストラリアと日本の大学を卒業し、両国の教員免許を取得する。
日本人補習校および現地の教員となるが、日本人留学生の実態を知り、2003年日本人としての誇りを教えるべく人格形成を重視した学習塾を立ち上げる。

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