「カンボジアQ&Aビジネス編」【黒川治郎氏@カンボジア】

カンボジアには周辺国に比べ、外国企業が進出するにあたって有利な面があります。
カンボジアは100%外資による会社設立が認められています。
投資優遇制度(QIP)は、周辺国に比べかなり広い範囲の案件が対象になっています。
またカンボジアはLDC(最貧国)であるため多くの品目で日本での輸入関税が無税となります。

カンボジアで事業をスタートするにあたってのポイントをQ&Aにまとめました。

Q1 外資100%企業は認められますか?

タイやベトナムでは一次産業やサービス業への100%外資での参入は既存の自国企業を脅かす存在とみなされ多くの規制が設けられていますが、カンボジアでは法律に違反しない限りあらゆる業種において100%外資による会社設立が認められています。

Q2 外国人が土地を所有することは出来ますか?

外国企業及び個人はカンボジアで土地を所有することはできません。
カンボジア企業及び個人からの長期賃借契約、またはリース契約を結ぶことになります。
ただし、アパートなどの集合住宅については2階より上層部について外国企業及び個人の購入が認められています。

Q3 土地コンセッションとは何ですか?

農業、畜産業促進のため未使用地の有効活用を目的とする制度です。
カンボジア政府と賃借契約を結びます。
すでにコンセッションを得ている企業からのサブリースも可能です。
最大面積は10,000ha、賃借期間は最長99年です。

Q4 投資優遇制度(QIP)とは何ですか?

一定の要件を満たしたカンボジア投資案件は、税制面などで優遇を受けることができます。
製品を輸出して外貨を稼いでくれる案件(輸出加工型QIP)、また輸入していた製品を自国で生産し、これまで海外に吐き出していた外貨の流出をストップしてくれる案件(国内市場輸入代替型QIP)は、カンボジア政府がQIPとして大いに奨励しています。商社、金融、建設、運輸、またレストランなどのサービス業などは基本的にQIPとしては認可されません。当然営業は可能です。
近年、周辺国における投資法ではハイテク製品や貧困地域での投資などの特定の案件のみを対象とする傾向が強まりつつありますが、カンボジアではかなり広い分野における案件を優遇適格案件としています。

Q5 農業はQIP適格案件となりますか?

以下の要件を満たしている場合に対象となります。
・米:1,000ha以上
・野菜:50ha以上
・その他換金作物:500ha以上
また、輸入用の各種穀物および作物製品の加工業、食品、飲料の製造業は50万ドル以上の投資が条件になります。

Q6 QIP取得企業が受けられる優遇は何ですか?

①法人税免税
始動期間+3年+優遇期間=最大9年
免税措置がない場合は、法人税は通常20%の税率で課せられます。

②輸入関税(税率0%、7%、15%、35%)
輸出加工型QIP:原材料、建設資材、生産設備、輸入税免税
裾野産業型QIP:原材料、建設資材、生産設備、輸入税免税(輸出分のみ)
国内市場型QIP:建設資材、生産設備、輸入税免税

③付加価値税VAT(税率10%)
輸出加工型QIP:原則輸入時に10%支払、輸出時に還付

Q7 カンボジアの税金にはどのようなものがありますか?

①法人所得税 20%
②最低課税年 年間売上げの1%
③輸入関税
④輸出関税
⑤給与税
⑥源泉徴収税
⑦付加価値税 VAT10%
⑧事業登録税 年間US$300
⑨特別税 125cc以上二輪車:10%、2000cc以上四輪車:30%、航空券:10%、通信費:3%、ガソリン:30%、飲料:20%など
⑩資産譲渡税 4%

Q8 カンボジアにおける経済特別区(SEZ)とは?

経済特別区(SEZ)とは、経済発展のために法的、行政的に特別な地位を与えられている地域を指し、カンボジアでは2005年に経済特別区制度が導入されました。
プノンペン近郊、シハヌークビル、ベトナム、タイとの国境エリアで開発されています。
SEZ進出企業は適格投資案件(QIP)に与えられる通常の優遇措置に加え、全ての業種において付加価値税(VAT)が免除されます。

Q9 SEZにはどのような業種の日系企業が入っていますか?

製造業・縫製業が中心です。ヤマハ発動機、味の素、小型モーター製造のミネベア、自動車用ワイヤーハーネス製造の住友電装、高級革製品製造のオーアンドエム工芸などが進出しており、2012年には王子製紙の工場建設が決まっています。

Q10 カンボジアの労働供給力は?

2008年の人口統計によると全人口の内、20歳未満人口は46%、15歳未満人口は34%と非常に若い国です。
30歳以下の労働人口は約500万人。
人口増加率は年1.64% (2008年国連人口推計報告書)です。(タイ:0.65%、ベトナム:1.15%)

Q11 農業案件は有望ですか?

カンボジアは以下のような理由から農業案件が有望な国と言えます。
①年中温暖な気候
②メコン河、トンレサップ河周辺の肥沃な土壌
③比較的安価で広大な農地を確保出来る
④カンボジア政府の農業促進のための施策(種子、農業機械などの輸入関税削減、VAT免除など)
カンボジア政府は2015年までに余剰米400万トン以上、輸出米100トンとすることを目標とした政策を発表しました。
尚、ゴム、アカシア、コーン、ピスタチオ、サトウキビ、キャッサバ、タピオカ、ジャトロファ、緑豆、ゴマなどの換金作物も有望で、中国企業、韓国企業、ベトナム企業、タイ企業などが参入しています。また現在市場向け野菜、果物の半分以上がベトナムからの輸入と言われており、この輸入代替案件も有望と思われます。

Q12 観光開発は有望ですか?

カンボジア観光省はVision 2020を策定し、2020年までの観光産業の目標を以下のように掲げています。 ①外国人観光客を600万人へ拡大
②観光収入を2009年のUS$15億からUS$40億へ増加
③宿泊施設キャパシティーを7万室へ増加

Q13 不動産開発は有望ですか?

現在首都プノンペンでは高層ビルの建築ラッシュとなっています。
韓国資本の案件が多く、オフィス数は2011年には2008年比2倍になると言われています。
最近日系デベロッパーの視察が増えてきましたが、まだ進出には至っていません。
またカンボジアで認可されている経済特別区は21箇所のみであり、早晩飽和状態になると見られることより、工業団地の開発も有望と思われます。

Q14 中国や韓国に比べ日本の投資は出遅れていると言われていますが?

現在カンボジアへの投資プレゼンスが高い国は中国と韓国ですが、2010年末までの国別累計投資額の内訳をみると中国は53%が不動産開発、27%がエネルギー開発、また韓国は83%が不動産開発となっており、外貨獲得や雇用創出などの外国直接投資のメリットをほとんどもたらしていないのが実情です。

カンボジア政府は、他国からの投資と一線を画し、日系投資のことを「良質な投資」として大いに歓迎しています。
また、日本政府のODAによる支援活動の成果により国民の親日感情が非常に高いです。
カンボジアは観光地としてだけではなく、ビジネスの面でも非常に魅力的と言えます。

参考文献: 「カンボジア投資セミナー」 CDC投資環境改善アドバイザー 今村裕二

著者紹介

黒川治郎氏
HUGS Cambodia Co.,Ltd. Chief Directer 兼 株式会社プラゼール代表取締役

黒川治郎氏

1979年イラク・バグダッドで生まれる。
1年半後、イランイラク戦争の開戦に伴って日本に帰国。
生まれながらに希少な体験をする(覚えてませんが・・)。
その後大学まで埼玉&東京で育ち、2001年よりベンチャー・リンクに勤める。
複数の 転職を経て、2006年9月に株式会社プラゼールを設立。
焼肉屋やゴルフスクール等の直営店を経営しながらフランチャイズ展開の支援を行う。
そして2010年、カンボジアでの事業をスタート。
さらに2011年2月より妻・娘(2歳)と共にカンボジアへ 完全移住し、HUGS Co.,Ltd.を設立。数百ヘクタールの大規模農業を中心に、 養豚・養殖・精米所の運営など様々な事業展開を行う一方で、孤児院や学校の 支援も行う。

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