そんなのアリ?いや、ナシの話【市島宗氏@台湾】

早いもので今年も8月、夏も後半に突入し、このままお盆を過ぎれば『残暑』なんて言葉も名残惜しく聞こえてくるから不思議なものです。
それに比べて、私達の住む台湾の暑さはまだまだ続きそうで9月中旬の中秋節を過ぎた頃になんとなく秋の気配を感じることができるのでしょうか。

ところで、南国の長引く暑さを慰めてくれるものに美味しいフルーツは欠かせないものでしょう。
初夏のアップルマンゴーから始まり、この頃は別品種で人気も高い『金煌マンゴー』や、濃厚な甘みが癖になる『龍眼』なども続々とシーズンを迎えています。

台湾の梨

ビジネスや旅行で日本から来られる方々には、ぜひともフルーツ屋を覗いていただき、台湾でしか食べられない果実の数々をお楽しみいただきたいと思うのですが、ショーケースの中には日本でも馴染み深いフルーツが並んでいるのに気付かれるかもしれません。

例えば『梨』です。
日本でもお馴染みの『豊水』や『新世紀』は台湾でも広く栽培されて販売されています。
台湾にも梨はあるのですが、果実が小さく渋みが強いのが難点。

そこで、台湾では日本の梨が栽培されているのですが、ここに隠れた日台ビジネスが存在しているのです。

台湾でも一般的となった日本の梨ですが、基本的に日本からの苗木の持ち出しは禁止されています。ではどのような方法でこれらの梨は栽培されているのでしょうか?

答えは『接木』(つぎき)です。
台湾産の日本の梨は、元来台湾の風土に合った台湾梨の木に日本梨の枝を接木することで栽培されている。つまり、湿度の高い台湾の風土に合った台湾梨の根と、甘くて美味しい日本梨が合体したコラボレーション・フルーツなのです。

さてこのコラボレーション、南国の大地にしっかりと根を下ろした台木のおかげで、生産効率もさぞかし良いのだろうと思いきや思わぬ弱点も抱えていて、実は2年目からの果実には台湾梨と日本梨の特徴が混ざって現れてくるために品質が不安定になってしまう。

梨畑

そこで、毎年冬の時期に日本から大量の枝(接穂(つぎほ))を輸入する必要があり、筆者の出入りしている農園では、毎年1億5千万円ほどの接穂を購入しているとのこと。

園主に、「栽培費用以外に毎年接穂を購入しないといけないなんて大変ですね。」と聞くと。
園主曰く:「それでも売れるから続けられるのだわ。」
ビジネスとしては十分『アリ』とのことで、台湾におけるフルーツ市場の大きさを改めて感じてしまいます。これは長年住んでみての感覚ですが、おそらく一人当たりのフルーツ消費量も日本と比べて3倍から5倍は有りそう。価格も安いですし。
それでも台湾のフルーツ栽培には、南国ゆえの困難も付き纏います。
「前回のときもそうでしたが、台風だけはどうにもできず心配ですよね。」と聞けば。
園主曰く:「そうなのよ、この時期は台風が来るたびに心配で白髪が増えるのだわ。この前と比べてこの辺が(頭の左側を指して)白さを増したじゃろ?」

とても70歳とは思えないビールの飲みっぷりを見ながら、「無さそうで有りそうな梨の話だなぁ。。。」などと思う7月末の昼下がりでした。

著者紹介

市島宗:台湾福茶 代表

画像の説明

1974年、宮崎県生まれ。宮崎産業経営大学卒。
スポーツインストラクターを経て、国内のエンジニア派遣会社に入社。主に台湾、韓国、アメリカで数多くの半導体・液晶パネル工場立ち上げに携わる。
2000年、偶然口にした一杯の烏龍茶に魅せられてお茶の世界へ転身、台湾省 茶業改良場の有機栽培研究員と共に約2年間現地の茶農家を渡り歩き茶業全般を 学び2003年に台湾福茶を立ち上げる。
現在も台湾を拠点に、馴染みの茶農家 達とお茶を作りながら活動している。




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