ベトナム企業と旧正月【小尾春氏@ベトナム】

第3回 ベトナム企業と旧正月

今年の旧正月(元旦)は2月3日だった。大分過ぎてしまったが、旧正月について書いてみたい。

日本に帰国すると、改めて日本のお正月は日常の延長のようになっているなあと思う。
お休みであることは確かだけれど、スーパーは元旦から開いているし、大掃除やおせち作りなどをする人も減っていると聞く。
改まった準備をしなくてもお正月を日常のように過
ごせるようになったことは、豊かになった表れだろうか。

そんな日本から来た私には、ベトナムの会社に入社した際、給料や有給休暇と言ったことと一緒に「毎年旧正月に日本に帰国する航空券を支給する」という条件が提示されたのが印象的だった。

「航空券、高いけれどいいの?」と思わず社長に尋ねると、
「旧正月は家族と過ごすものだろう。それともお前は家に帰らなくてもいいのか」
と逆に尋ねられた。

結局、「日本では旧正月は普通の日だし、一番寒い時だから帰りたくない」と言って「毎年旧正月」という条件を「毎年1回」に変えてもらったが。

ベトナム全体で旧正月が年間最大のイベントであることはわかっていたけれど、働いてみると、企業でも1年が旧正月を中心として回っていることを改めて実感する。
会計年度は12月締めだが、その後1月2月を使って決算作業をする。正式な決算発表は旧正月後だが、1年間で得た収益を社員に分配するという意味で、旧正月前にボーナスが支給される。
旧正月のための手当てを別途出す企業もある。
社員たちはそれで無事正月を迎える。
そして正月を終えて会社に戻って来ると、社長や上司からお年玉をもらう。

時々旧正月に手当てもボーナスも出さないとか、旧正月も働かせる企業があるというような話を聞くことがあるけれど、そういうことに対してベトナム人が感じる憤りや驚きは、私たちが予想するものよりずっと大きいのかもしれない。
ベトナム人の生活の中心は家族で、また企業も家族的であることを強調していることが多い。

さて。旧正月前のベトナム企業は忙しい。
決算作業やらに忙殺されているし、正月前の顧客
回りも大事な業務だ。
そのため、ベトナムでアポを取りたければ旧正月前は避けた方がよいとおもう。
また、旧正月明けも引き続き休暇を取っている人や、正月ムードが抜けない人たちがまだまだいるので、1週間位はアポを避けた方がよいだろう。
しかし旧正月以降、繁忙期は過ぎて時間的に余裕ができる企業が多いので、アポは取りやすくなる。

著者紹介

小尾晴(おび はる) 旧姓 大村
サイゴン証券株式会社 Director 兼 日本ビジネス開発部部長

小尾春氏

1973年石川県生まれ。
津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業、東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。大学院在学中にハノイ国家大学に留学。
農村開発調査コンサルタントとしてJICAやJBICの案件に参加後、日本アジア投資株式会社に勤務、ホーチミン市に赴任。
2007年よりベトナム最大の証券会社であるサイゴン証券株式会社に当時唯一の外国人スタッフとして勤務、日系顧客を担当。
現在は退職し日本に帰国、通訳として活動中。

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