オーストラリアと日本の大学事情(1)【池田 佳史氏@オーストラリア】

今回はアデレードの大学事情を少しご紹介します。

私はアデレードの大学を出た後、日本の大学に行きましたので、オーストラリアと日本の大学事情の相違点をより実体験を通して感じることができました。
もちろん、私が卒業したのは既に20年近く前になりますし、アデレードと日本の一大学で経験したことですので、一概にオーストラリアと日本の全ての大学に適用される訳ではないと思いますが、だいたい同じ事が言えるかと思っております。

まず、私は理学部数学科を出たのですが、日本の大学では女性の教授や講師が全くおらず、女性教授の授業を受けたことがなかったのですが、オーストラリアでは約3割の方が女性で驚きました。
受講生も女性は日本の大学よりはるかに多かったです。
日本にいるときは受講生が全部で約60名程いたのですが、その内女子生徒は3名、物理学科では2名しかおらず、人文学部や教育学部が女子生徒が多く華やかで羨ましかったことを覚えています。
聞いた話では工学部はもっと少ないようです。
詳しい事情は分かりませんが、日本ではまだ男性は理系、女性は文系というような固定観念が強いため、そのような社会背景が反映されているように思われます。

次に、こちらの大学ではフルタイムとパートタイムに分かれており(留学生は学生ビザの関係でフルタイムのみ)、働きながら子育てしながら大学に行くことができます。
大学のキャンパス内に託児所のようなものが設けてある大学もあります。
そのため、日本では「私は大学2年生です」というように学年がよく言われますが、
こちらでは規定の単位数を満たした時点で卒業なので、教科のレベル(レベル1、レベル2など)は分かれていますが、学年を言うことはありません。
前期で規定単位を満たす生徒もいれば、後期で満たす生徒もいますので、基本的に卒業式が年に2回あります。

学費に関して、日本では前期いくら、というように選択教科数にかかわらず定額ですが、
オーストラリアでは前述のようにフルタイムとパートタイムに分かれていることから、選択教科数によって授業料が決まります。
留学生は現地の生徒達より高額な学費が課せられますが、現地の生徒は国から非常に低金利で学費を借りることができ、就職してから返済するというプログラムを使用できます。
日本に比べて、お金がなくてもより大学に行きやすいシステムになっていますし、親から仕送りをしてもらって、その上学費まで出してもらうという生徒は少ないです。
こちらは18歳から成人とみなされますので、日本の大学生よりも自立心をもって学生生活を送っており、
また学生手当てとして国から生活費も支給されますので、親に頼ることなく自分で生活していくサポートも充実しています。
何よりも日本のように目的無く大学に進学する生徒は少なく、自分の将来の夢や希望を持って進学している生徒が多いです。
そのため日本のように親のすねをかじりながら留年するという生徒は少なく、自立心や自己責任という意識が強いように思います。

クラブ活動やサークルに関しましては、日本ほど盛んではなく、一般の社会人クラブに所属するという場合が多いようです。
大学の数が少ないということもありますが、大学対抗試合というようなものも非常に少なく、ほとんどの場合は一般の社会人クラブ対抗の試合です。
この大学内でのクラブ活動が盛んでないことに関しては少し残念に思います。
私自身は日本の大学で体育会系のクラブに属していたのですが、たくさんのことを学ばせて頂きました。
体育会系のクラブの中には、後輩を使いっ走りにしたり、過度な練習の強要や体罰、強制的な一気飲みなど、問題があるクラブもあるようですが、
私が属したクラブには一切そのようなことがなく、先輩後輩の上下関係、規律、チームワークなど非常に大切なことを学ばせて頂きました。
先輩自身が時間を守り、練習に参加され、入部したばかりの素人だった私にも練習相手をしてくださいました。
また、練習後によく夕食に連れて行って頂いたのですが、夕食代を出させてもらえず、いつも「私達も先輩からずっとおごってもらった。
今度はあなた達が先輩になったときに施してあげなさい。」と言われました。
今の若い世代では、厳しい練習や規律を忌み嫌う傾向があるようですが、自己規律を確立させるためにも、若い頃にはそういった規律を重んじる環境に身を置くことは大切だと思います。

生協に関しましては、日本と同じようなものがありますが、
オーストラリアは日本ほど食文化がありませんので、学生食堂には年中通して同じメニューしか販売されていません。
もともとこちらの人たちは日本ほどしっかりと昼食を取るという習慣がないようです。
学生時代、友人の多くはサンドイッチを食べていましたが、中にはニンジン一本やバナナ一本、ひどいケースになりますとチョコレートのバー(棒)を一本ですませる人もいました。
会社に入りましても、朝の休憩、ランチタイム、午後の休憩と一日に三回も休みがあり、その度にビスケットやチョコレートなどの甘い物を食べるため、オーストラリアは肥満大国としても有名です。
小学校や高校でも、ランチタイムが非常に短く、みんな軽食ですませています。
少し話しがそれましたが、こちらの生協ビルには、学生食堂以外に、ジムが入っており、休み中にジムで体を鍛えることができます。
またカフェがあったり、バー(酒場)もあります。お酒は不謹慎だと思われるかもしれませんが、
お酒に関しては日本と違いかなりオープンといいますか緩く、朝から開いているバーも多く、昼食時にビールやワインを飲む人も多いです。
飲酒運転に関しましても、ビール一杯(300ml弱)までは違反になりませんので、比較的お酒を飲んで運転している人も多いです。
私の学生時代では、ビール一杯(300ml弱)が生協ビルのバーで2ドルでしたが、ここ最近は物価の上昇が激しく、4ドル50セント前後で売られているようです。

著者紹介

池田 佳史氏:Sports & Education Projects Australia Pty Ltd 代表
メールアドレス:sepapl@bigpond.com.au

池田 佳史

1972年大阪生まれ。
1991年オーストラリア・アデレードに家族で移住する。
親に頼らず、苦学の末オーストラリアと日本の大学を卒業し、両国の教員免許を取得する。
日本人補習校および現地の教員となるが、日本人留学生の実態を知り、2003年日本人としての誇りを教えるべく人格形成を重視した学習塾を立ち上げる。

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