会社の金を横領、逃亡した従業員。経営者としての自戒【野瀬正一氏@シンガポール】

新年早々、私のパートナー会社の社員が会社の金を持ち逃げしました。
今年は1月1日が日曜と重なったために12月31日から3連休となり、お金の管理が数日滞る間に、彼は顧客から預かった金を横領したそうです。
社員はインドネシア人でシンガポールの永住権を持ち、同社で3年ほど勤務していました。
会社がすぐに警察に通報し、弁護士とも協議を始めた矢先、警察から連絡がありました。
「彼は見つかった」と。
しかし「どこにいるのか?」と聞いても、ただ「見つかった」としか言いません。
つまりそれは、彼が死体で見つかったことを意味していました…。

今回の事件、手口は現金を持ち逃げしたという単純なものではなく、小切手等を使った分かりにくい方法でした。
そのため会社側はそれまでも何度か行われていた横領を気づかずにいたようです。
横領された総額は10万ドルを超えると思われ、私のパートナー会社は数人規模の零細企業ですから、新年早々手痛いスタートとなったようです。
またもう1つ判明したのは、このような場合シンガポールの法律では死んだ元従業員およびその家族からは、一切損害を回収することができないのです。
生きていれば法的措置を講じることができますが、死んでしまってはシンガポールで単身働いていた彼を訴えることは難しいようです。

我々経営者は常に従業員の幸福を願い共存共栄する。
そのような理念を常に掲げて仕事をしていく訳ですが、このような現実を目の当たりにするとシビアな気持にもならざるを得ません。
今回会社側がもっと金銭の管理を徹底していれば、横領は防げて1人の従業員の人生も終わらずに済んだのかもしれません。
(もっとも、横領した動機はギャンブルであったようですから、それ以前の問題かもしれませんが…)。
彼はインドネシア人でシンガポールの永住権を持ち、20代の若さだったのでこの国では恵まれた環境にありました。
それを捨てて横領に走った彼の命の値段は10万ドルだったのか…と思うと切ない気持になります。
しかし失ったものは元に戻せません。
私のパートナーである経営者は信頼していた従業員から裏切られてしまい、結果彼が死んでしまったために、謝罪を求めることもお金を取り戻すこともできません。
死んでしまった彼は返金することも、もう一度やり直すこともできません。
できることは2度とこのようなことが起こらないよう、再発防止を徹底することだけです。

他国と比較して総じて平和なシンガポールですが、このようなこともあります。
日本でもわずかなお金のために事件が起きることが度々あります。
会社を成長させることに懸命になる陰で、関わった人の人生が狂うことのないよう注意しないといけない…そう自戒した事件でした。

著者紹介

野瀬 正一氏
WCC SOLUTION PTE. LTD.代表

野瀬正一氏

シンガポール永住権保持者
早稲田大学卒業後、東京で飲食店経営や人材ビジネスなどに携わるも、ことごとく逆風に遭う。
時代の流れには逆らえぬとアジアに出ることを決意し、シンガポールに渡る。
現在はコンサルタントとしてシンガポールへの進出サポートおよび店舗開店支援、また実業としてレンタルオフィスや店舗経営などをおこなっている。
50社ほどのクライアントと日々シンガポールおよびアジアマーケットに挑戦中。

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